アメリカモラハラ離婚体験記⑧唯一の味方はモラハラ夫の友人の母

モラハラ エピソード

渡米後1か月すぎてから、ようやく少しずつ家族や友人を紹介し始めたオリバー。しかし、彼の友人として紹介されたのは幼馴染の女性だけだった。

 

オリバーは親しい友人が彼女しかいなかった。彼女『ゾーイ(仮名)』は誰もが知るIT業界で働く秀才。着飾って見た目を気にする女性っぽいタイプではなく、皆から頼られるような気さくで優しい男性のような印象だった。

オリバーはこのゾーイに対して、『完敗』していることを認めていたのだと思う。昔から頭が良かったというゾーイは仕事で成功しているだけでなく、友人が多かった。数週間前にオリバーの5年以上にわたるモラハラ行動の原因をつきとめた私は、今になって彼がゾーイにだけは他の人と違う扱いや言動だったことに納得がいくようになったのだ。

 

『オレはゾーイが好きだ』

 

人を好きにならないオリバーがそういった唯一の人、そしてそのゾーイの母が私の唯一の味方となってくれた文子さん(仮名)だったのだ。

 

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オリバーが憧れる友人

オリバーが私たちをゾーイの家に連れて行ったのは、渡米2か月後だった。仕事もしていないオリバーは全くの暇人であるはずなのに、忙しいからとなかなか連れて行こうとしなかった。

 

ゾーイの家は、閑静な住宅街にあった。

このあたりは大きな家が多いため、ゾーイの家も大きかったが、中に入るまではそれを感じなかった。

 

 

 

 

ゾーイは始めて挨拶をしたときから、とても感じが良い女性だった。今でもオリバーの唯一の友人であることを考えてもゾーイへの印象は変わらない。

 

 

 

 

一歩中に入ると、右側にダイニング、左側に部屋があり、正面には広々としたキッチンとリビング、その奥が庭で、大きなプールがあった。

 

 

 

ゾーイはこの購入してからまだ間もないという豪邸のペンキの塗り替えをなんとオリバーにお願いしていた。

 

 

 

そういえば…

 

 

 

オリバーが先にアメリカに帰り、私とエマは日本にいたとき、オリバーが言っていた。

 

 

『今友人の家のペンキ塗りを手伝ってる。アルバイトでやってるが、いい勉強になる』

 

 

それがまさかこんなとてつもなく天井が高い豪邸のことだとは全く予想していなかったのだった。

 

(なんでこんなド素人のスキルも低いオリバーなんかにお金払ってペンキ塗りさせてくれてるんだろ…)

 

 

 

 

心の中でそんな疑問を持っていた私。

 

 

 

ゾーイは、口だけは達者なオリバーに、なんと100万円も前払いしてペンキ塗りを頼んだだけでなく、開始から半年以上は経ってるにも拘わらずまだ終わっていないどころか、半分も塗り切れてないお粗末な仕事になんの文句も言っていないようだった。

 

 

 

(天使のような人だな…)

 

 

 

お金に余裕があるのは間違いない。

きっとオリバーに払ったお金も1か月の給料で十分払える金額だったに違いない。

 

 

そうはいっても、いつまでも終わらない仕事にイライラしたりしないんだろうか…。

プロに頼んだ方がよっぽどいいのに…。

 

 

 

きっとゾーイは、退役軍人が新たに仕事に就くのは簡単ではないことを知っていて幼馴染を助けようと思ってわざわざ彼に仕事をあげたんだろう。

 

 

 

でも、それは私がゾーイと会った印象から思っただけで、オリバーは家では私と世間話はしないのに、ゾーイの家に来ると、自分がしたペンキ塗りの部分を私に自慢げに語り始めた。

 

 

(マジでどうでもいい…(-_-メ))

 

 

オリバーの武勇伝(にもならない)話なんかどうでも良かった私は、ゾーイのすごさにしか驚いていなかった。

 

 

 

ゾーイに案内されてキッチン手前のらせん階段を登ると、いったい何部屋あるんだ、というくらいあちこちに空の部屋があった。

 

 

 

『こんなに広くて夜とか怖くない?』

 

 

 

 

豪邸に1人(とドーベルマン)と住んでいるというから思わず尋ねた私。

 

 

 

『全然怖くないよ。』と笑って答えたゾーイ。

彼女が男だったら惚れてるな、と思うようなかっこいい女性。

 

 

 

 

『今まで買った家の中で一番高かったわ』

 

 

 

 

そういうゾーイは、IT業でかなり稼いでいる他に不動産を数件保有している投資家でもあった。

こんな素晴らしい友人がいると思えないほどひねくれた性格なオリバー。

 

 

なんでこんなオリバーと友達でいるんだろう…と思わざるを得ないほど、ゾーイとオリバーは対照的だった。

 

 

オリバーも投資物件を持っていたが、始め私はそれを彼自身の計画性や賢さ、と思っていたが、この日それは幼馴染の影響であることを確信した。

 

 

ゾーイはかなりデキる女性だったが、不動産投資は母親の影響だったようだ。

ゾーイの母は不動産仲介の仕事をしていた。

 

 

 

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始めての味方

ピンポーン!

 

 

 

玄関のベルが鳴り、私の母ほどの年代の夫婦が現れた。

 

 

 

『こんにちは!』

 

 

サングラスをしていて一瞬わからなかったけれど、女性はゾーイの母、日本人の文子さん、男性はゾーイの父の黒人男性だった。

 

 

 

ランチをしよう、とピザをオーダーしてくれたゾーイ。

どこのピザだったのか忘れてしまったけれど、今まで食べた中で一番おいしいピザだった。

 

 

 

家の中の見学とランチを終えた私たち。

 

ゾーイとオリバーが談話している間、私は文子さんとキッチンで話をしていた。

 

 

 

 

『彼、ちょっといじわるなところがあるんですよね…』

 

 

 

 

 

オリバーは日本語がわからなかったため、日本語で話せることで安心感を感じた私は文子さんにそう打ち明けた。

 

とはいえ、どこまで話していいのかわからなかったため、控えめに打ち明けただけだったように思う。

 

 

 

この日文子さんは、オリバーに向かって何かを諭すように話していた。

オリバーが自分には新機種のスマホを買っているのに、私には堅落ちしたスマホを使わせていることや、買い物などに連れて行かないこと、私に車を買ってあげなさい、というようなことなどを話してくれていたと思う。

 

 

文子さんと電話番号を交換した私は、渡米後はじめて安堵の日を過ごした。

 

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友人の母には強く言えないオリバー

 

文子さんに怒られたような形になったオリバーはかなり不機嫌だった。

 

 

私に

『おまえのせいでオレの評価が落ちた』

というようなことを言ってきた。

 

 

 

(そんなの全部事実話しただけだからあんたのせいじゃん)

 

 

私は、なにかあったらすぐ連絡しなさい、という文子さんに相談することにしていた。

 

 

オリバーの意地悪な態度は全く変わらなかったが、文子さんに言われてしまったオリバーは、仕方なく私に車を購入した。

 

『私に』といっても、私が欲しい車を聞いてきたわけでもない。

 

 

 

自分が決めていつの間にか購入していたし、オリバーの車は古いスポーツカーのようなタイプのレクサスだったから子供が乗るには向いておらず、この車を『ファミリーカー』にするつもりだと言っていたので、本人にとっては

 

 

『おまえも使っていいが、オレが買ったオレのものだ』

 

というオリバーらしい考えだったようだ。

 

 

それは離婚調停となったときに『俺たちのものだとは言ったが、おまえのものだとは言っていない』と彼が言ったことからハッキリした。

 

 

 

そうして私は免許を取る勉強をし、無事に免許を取得したのだった。

 

 

 

 

この文子さんとの出会いは神様からのプレゼントだったのではないかと思う。

今では連絡を取らなくなってしまった文子さん。適切なタイミングで私を守ってくれ、のちにオリバーのモラハラを証明するのに役に立つかもしれない出来事のきっかけも作ってくれた。

 

今連絡を取らなくなったことも全て神様の計画だったんじゃないかと思うほど、不思議なほどちょうどいいタイミングだった。当時の私に必要な守り神、きっと今はもう自分で自分を守れる力がついた私に関わる必要はなくなったのだろう。

 

今でも文子さんには本当に感謝している。

 

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亭主関白は危険信号

私が頼むものはアイスクリームでも買ってこないオリバーが、文子さんに『車を買ってあげなさい』と言われたたった1週間後に100万円の車を購入したのは驚きだった。

 

まぁこの行動も今となっては全て説明がつくのだけれど…。

 

 

 

文子さんは私たちの将来を予想できているかのようだった。

 

『私がアメリカに来た時に似たような経験をした』ということをチラリと聞いたので、おそらく私たちが離婚するであろうこともわかっていたのだろう。

 

 

 

『子供のために離婚するのは、少なくとも今は考えていない』

 

 

という煮え切らない私に

 

 

『子供のために一緒にいるのは夫婦も子供も不幸。』

 

 

とハッキリ言い切ってくれた。

 

 

 

オリバーからのモラハラを日本の家族や友人を始め、誰にも相談できずにいた私にとって、相談できる相手は文子さんたった一人だった。

 

 

 

そうはいっても私は家ではオリバーの監視下にあったため、自分から文子さんに相談したり誘ったりすることができずにいた。

 

 

オリバーは威圧的な態度で毎日私の欠点を指摘しては精神的に追い込む、を繰り返していたから私の心はすっかり弱り切っていたのだ。

しかもオリバーは初日に文子さんから注意されたことを何日も根に持っていた。

 

 

 

文子さんはそんな私を知ってか知らずか、何の義理もないのに『いつでも連絡して』『天気が悪いですね』『うちに来ませんか』などメッセージを送り続けてくれた。

 

彼が購入したスマホを彼が盗み見する可能性はゼロではなかったため、私は文子さんが連絡をくれたときだけ返事をしていた。日本語だろうが関係なかった。

 

 

オリバーは私が文子さんに連絡をしている事実でさえ気に入らなかったのだ。

 

 

そんな私に文子さんは言っていた。

 

 

 

『あなたに対して冗談で?亭主関白的なことを言ってたから、オリバーに、こっちにきたらアメリカ式を教えてあげるっていってたのよ』

 

 

 

そのセリフがあったせいか、オリバーは少し覚悟していたに違いないと文子さんは言った。

 

 

 

確かにオリバーは別居で始まった結婚生活当初から、完全な亭主関白だった。

 

 

ただ、私たちがアメリカで一緒に住み始めると、それは亭主関白のレベルを完全に超えていた。

 

 

 

『オレの言うことが聞けないなら出ていけ』

 

 

そう圧力をかけるオリバーにとって、とにかくなんでも悪いのは私、バカなのは私、子育ては自分のがうまい、お前はだまって俺様の機嫌に合わせてればいい。

 

 

オリバーの家の中に”閉じ込められた”私と1歳のエマには逃げ場はなかった。

 

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You Suck !

私の毎日は地獄でしかなかった。

 

 

家の中ではオリバーに監視され、毎日嫌味を言われたり言葉の暴力をたくさん浴びていた。

 

 

エマはオリバーに滅多に懐かなかったけれど、子供が欲しかったオリバーはエマを手放す気は全くなく、エマの気を引くために私を利用した。

 

 

(私はいったいどうしたらいいの…!神様…!)

 

 

1歳のエマにかかりきりだったこと、車もなく土地勘もなかったこと、知り合いもいなかったこと、毎日のモラハラが法的にも『暴力』に当たることを知らなかったこと、それを相談する機関があることも知らなかったこと、ビザが期限付きのものだったこと、当時英語のやりとりに自信がなかったこと、全てが逆風となり、私を追い詰めた。

 

 

 

『死にたい…。』

 

 

生理の憂鬱さが私を弱気にし、力なく座り込んだ私は小さくつぶやいていた。

 

 

 

そんな私を見ると、オリバーは言った。

 

 

 

『You Suck!(お前は最悪だな)』

 

 

 

お前は弱すぎる、そう追い打ちをかけるオリバー。

 

 

 

 

 

確かに、当時の私はオリバーの言う通り、何も知らないアホで弱い人間だった。

 

それまで平和な日本で幸せに生きてきていたからアメリカで移民という立場のリスクを全く考えていなかった。

 

もしも今、国際結婚してアメリカに住みたい…という友人がいたら、私はきっと言ってしまうだろう。

 

 

『いい時だけじゃなく、最悪な時のことを考えてからにした方がいいよ。リスクは想像以上に大きいし、移民は立場が弱いから』

 

 

 

なんとかなる…と前向きに、そして能天気に生きてきてなんとかなっていた私が直面した、どうにもならない最悪な現実。

 

 

 

…もう遅かった。

 

 

 

もしも離婚がもう少し遅かったら多少マシだったのかもしれない。

 

 

 

それからしばらくの間、寝る前に声をあげて泣く日々が続いた。

 

 

 

そして弱り切った私を面白そうに追い詰めるオリバーとの毎日は容赦なく続いていった。

 

 

 

(続く)

 

 

 

 

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