アメリカで離婚するときに日本と一番大きく違うことの一つに『親権』の問題がありますよね。日本では親権は母親にいく、というのが一般的ですが、アメリカでは親権は父と母の両方が半々に持つのが一般的です。
日本で育ち、離婚したら親権は母が持つものと思っているとアメリカや他の国ではそうではないことを知ってショックを受けます。でも先進国の中で共同親権を採用していないのは日本くらい。そしてついに日本でも共同親権が法制化の方向に進んでいるようですね。
ちなみに、私は日本で育っているので、離婚したら母親が親権を取るもんじゃないの?という考えでいました。
ところがアメリカに来てから、それってものすごい親の都合で身勝手な考え方だと気づきました。
今日は共同親権の場合、一緒に住んでいない親が子供を定期的に訪問する権利がありますが、新型コロナウィルスでいろんな規制があったり、感染の恐れがある場合に訪問はどうしたらいいのか、訪問を拒否したりすることはできるのか、について私にも実際にそんな事態が起きたので弁護士からの話を交えてまとめていきたいと思います。
子供第一主義のアメリカ
アメリカでは子供のことを本当に第一に考えています。それを言うと『日本だってそうよ!』と言われるかもしれないので、なぜそう思ったか日米の違いをあげてみると、、
例えば自宅で子供を一人で留守番させたり、子供を車内に1人で残して出かけたりすることが法律違反になることや、学校の登下校はまず大人と一緒。学校の入口で上級生や先生が出迎えたり見送ったりと、児童が一人きりになる状態になることがまずありません。
日本の(特に田舎)だと『ちょっと買い物行ってくるね~』なんて出かけたり、『10分もかかんないからいいよね』と幼児を一人にして近所に行ってしまったり、、なんてことがよくあると思いますが、アメリカではそれはあり得ません。
法律は州によって違うとはいえ、基本的なルールは、7歳以下の場合は何分だろうが一人きりにするのは絶対ダメ。8~10歳までは日中か日が落ちる前1時間半までは良いが、それ以外はダメ。など決まっています。(こちらのサイト参照)
でも法律だけでなく、もしも子供を一人にしたことを別れた夫(妻)に知られたら、児童相談所に通報されるケースがあり、そうなるとネグレクト扱いされたり、深刻な事態になることがあります。
上記は一例なんですが、他にもアメリカの警察官や消防隊員は定期的に学校を訪れるだけでなく、普通にガソリンスタンドや道で出会っても子供にステッカーをくれたり手を振ったり話しかけたりしてくれ、普通に過ごしているだけで『アメリカって子供に優しいよな~』と感じます。
そして、そんな『子供第一主義』を象徴するのが共同親権でもあるわけですが、さらに今回、新型コロナウィルスという100年に一度あるかの異例な事態でも身をもって『アメリカの子供第一主義』には例外がないということを実感することになったのです。
新型コロナの間の訪問日を拒否することはできない
結論から言うと、新型コロナの感染が怖いから訪問日に子供を相手に渡すのを拒否するということはできません。
今回私の例で話をすると、私たちは共同親権で子供を育てていますが、私が子供と一緒に住んでいて、子供の父は訪問日に子供を訪問しています。
その訪問日は『Standard Possession』という基本ルールがあるのでいつかというのが決まっています。ケースによっては独自の訪問日を決める場合もあると思いますが、特別な事情がない限りこのStandard Possessionになるのではないかと思います。
そのStandard Possessionというのは、ググればわかる通り、1年のカレンダーで全部決まっています。
ルールは
第一・第三・第五の週末(金曜6PM~日曜6PM)と木曜の6~8PM
その他夏の休暇の訪問日(これはケースバイケース)そしてホリデーは毎年交互にそれぞれの親が一緒に過ごします。(100マイル以上離れて暮らしている場合は少しルールが変わる)
別れた親は意見が合わないことがほとんどなので、このルールに沿って行動しなければいけません。ただしお互いが話し合いで合意すれば(メールのやりとりなどの証拠)変更は可能です。
でも、私たちのように、合意のもとで変更したにもかかわらず夫の気分で変わるなど結局もめることもよくあるので、私は
のがベストだと学びました。
もしも合意の下で変更したのにどっちかの気が変わってそのルールを破った場合、誰が責任を取るかともめてもケンカどまりで法律で解決できないからです。
法律で決められた(離婚判決書)内容に沿ってない場合は、ルールを破った人は法的な罰則を科されます。罰則は誰だってイヤなので、ルールが納得できなくても従わざるを得なくなります。
そして、今回のような新型コロナウィルスという全世界を混乱に陥れた怖い感染病が蔓延しているという事態、さらにアメリカは世界的にもワーストの感染者国となってしまっていたという事態
にもかかわらず!
この法律を破って『今は新型コロナウィルス感染という異常事態だから子供に感染したら嫌だし訪問拒否ってもいいよね』ということは許されません。
何で!Σ(゚Д゚)
と思ってしまいますが、それは
子供は両方の親に会う権利があるから
じゃあ子供が拒否ったら??
それでも基本は法律に従わなかった方が圧倒的に不利になるのです。
もしも相手が新型コロナウィルス感染の疑いがあった場合
別れた相手のことを今も信用している、という人は少ないと思います。
私の場合は元夫はナルシシストなので、全く信用していません。
そして、私たちは、新型コロナウィルスが最も爆発している最中にこの件でケンカをし、元夫は、私にあたかも自分は感染の疑いがあるかのようなメッセージをしてきました。その時、元夫は夏休みの訪問期間中(child visitation)で自宅で娘と一緒に1か月過ごしていました。
そのため、私が検査を受けるようにメールでお願いすると拒否。
そして娘が帰宅。私は、元夫から自分は感染してるかもしれないと聞いていたため、娘が感染しているのではないかとの恐怖にかられていました。
娘に事情を聞くと『確かにパパは調子が悪かった』と言いました。
さらに私の恐怖に追い打ちをかけたのは娘のこの一言でした。
え(;・∀・)(;゚Д゚)
事情を何も聞かされていない私は、元夫に聞いても絶対に正直に話すはずがないと思ったため、数日間、娘が感染している可能性、そして私にも移る可能性を考えて怯える日々を過ごすことになりました。
そして、新型コロナに感染しているかちゃんと伝えないことは法的にどうなのか、症状がある場合に検査を要求することはできるのか、もし片方の親が感染してたらどうするべきか…などを調べました。
住んでいるテキサス州での法律にはこうありました。
- パンデミックによって既に決められている各種ルールが影響を受けることはない
- 裁判所の許可のもと互いの同意があれば変更しても良い
- ルール変更したい場合は裁判所に申請する必要がある
- 子供に差し迫った危機がある場合には訪問を拒否しても良い場合がある。しかし弁護士に相談するのが良い。
つまり、今決められているルールがパンデミックが起きたことを理由に例外的に変更になることはなく、もし訪問日を変えたり、特別なルールを決めたいのであれば弁護士と相談して裁判所に変更申請を出す必要があるとのこと。
でも、パンデミックの最中、裁判所も閉まっていたり、短時間だけ重要案件を扱っているとも聞いていたので変更申請する間に感染するでしょ、と思いますよね。。
さらにこうも書かれてます。
Talk with the other parent about your concerns, and try to work out a solution that allows the child to stay safe and healthy. If talking to the parent doesn’t work and the danger to the child is immediate, call 9-1-1 (for an emergency) or CPS at (800) 252-5400 (if you suspect the child is being abused or neglected).
相手と話し合い解決策を見つけるか、話し合いがうまくいかず子供に危険が迫ってる場合は911かCPSに電話するように…と。
そしてもしもコロナ感染が疑われる場合は…
Basically, if a parent, conservator, or child has been diagnosed with, or has reason to believe they or have been exposed to the COVID-19 virus, tell the other parent about the diagnosis or exposure. Then, discuss the actions necessary to protect the child’s safety and welfare.
もし感染者と接触したとか感染の疑いがある場合は相手に伝えて子供の安全につとめなければならない、ということで、私の元夫も、妹が感染しているそうだし、接触があったのか気になりました。
話し合いなんて無理に決まっている…と思いながらもその努力もしてなくちゃ後で何も言えない、ということで一応元夫にメールで連絡。
妹さんが感染しているそうだけど、接触はあったのか、などの質問に加え、娘が帰宅した数日後の週末に再び元夫の訪問日が来てしまう(こちらはstandard visitation)予定だったので、怖いから『もし症状が出てるなら、それが収まるまで訪問を延期してくれないか』とメールしました。
それを元夫はしばらく無視。
それから、今度は私が自分の権利である面会日を拒否したとかビービー反論し始めました。
そして私にこういったのです。
これはなんと嘘でした。新型コロナに関するすべての質問を一切無視した挙句に、裁判所に申し立てをしていると嘘をつく…。
こうやって平気で嘘をつくんです、ナルシシストは。普通だったらこんなにハッキリ嘘をつくことはできません。
こんなような体験をしたことがある方ならわかると思いますが、普通はこんな嘘つけないから、普通の人はこれを本気にします。100%信じなかったとしても、心のどこかで不安になるはずです。
特に私の場合は、オリバーは過去に児童相談所に平気で誤報しているので、私は彼のメッセージに心臓が高鳴り、パニック障害のような状態になりました。
そしてオリバーが何も答えないから新型コロナに私も感染する(またはしている)かもしれない不安、プラス年齢的にも入院とかいう事態になりかねないこと、アメリカの医療費はそれこそ心臓発作を起こしそうなほど高い事、などが不安に拍車をかけ、ものすごいストレスに押しつぶされそうな数日間を過ごすことになったのです。
そこで私はもう我慢ならんと弁護士に相談したのでした。(オリバーが嘘をついていたことは弁護士に相談してわかったので、弁護士を立てていると聞いた時、それに対抗して今までの彼の行いに対する法的手段をとるつもりでいました)
ちなみに弁護士相談で初回無料というのがありますが、そういうのは本気で相談する場合は利用しない方が良いです。
私が相談したのは、とても評価が高い弁護士事務所で、女性弁護士のみが在籍しているところでした。
相談料は1時間200ドル。これでも安い方を選択しています。その他の弁護士事務所では1時間600ドル、400ドル、などと言われたこともありました。ただ、男性だったのでやめましたが。
そして弁護士に言われたのが
でした。
まあ、脅しじゃないかとは思ったけど、本当に脅しであんな嘘ついたのか…(-“-)
と知った私。ナルシシストの恐ろしさを再び痛感したのでした。
新型コロナに関しては、
『もし感染者に接触したのであればそれを相手に報告する義務がある』とのこと。
元夫は妹に接触してないと思われる(近所だが一緒に住んでいないので)ためここはクロではなくグレー。

それから次の面会がきました。
それは娘が帰ってきてから数日後の週末だったので、弁護士に相談する前のこと。
私がもしも相手の面会を拒否したら、私が法律違反したことになるため、仕方なく週末の面会日には従いました。
娘を迎えにきたオリバーは勝ち誇ったような顔でテンション高めに娘と会話をし、のちに私にこうメールをしてきました。
(裁判所の命令に従ってくれてありがとう。良い週末を!)
まとめ
新型コロナウィルスだろうがパンデミックだろうが、現在下されている法律に従うことが原則であって、自己判断はしてはいけない。
面会は子供の権利のため子供に危険が迫る場合などの事情がない場合に、面会拒否することはできない。またそうしたい場合は裁判所に変更申請をしなければいけない。
法律に従わない方が不利になるので、もしも不明な場合は弁護士に相談するのが一番。
新型コロナウィルスに子供がかかったらどうすんのよ!という心配は多くの親が抱えていることなので、今回もシングルマザー同士で『面会どうしてる??』って話をよく聞きました。
結局のところ、親が子供のことを一番に考えられているんならいいんですが、私の元夫のような難しいひねくれたタイプの場合は共同親権は大変だなというのが本心です。
でも合わない二人が離婚したんだから共同親権が大変なのは当たり前です。それよりも親が大変ですんだ方が子供が大変な思いをするよりは良いし、共同親権も子供が一人前になれば終わるので、バトルにも終わりがきます。
それを思えば、これは親として仕方のない通り道なのかな、と思います。(めっちゃしんどいけどね…本心)
image…freepik
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