ナルシシストと付き合っていたらこんなことを聞きたくないかもしれませんが、ナルシシストはあなたを愛していません。あなたと付き合っているのは『自分のため』なのです。
今回は、ナルシシストの被害者である交際相手はナルシシストが生きていくのに必要な道具であるというちょっとショックな話題です。家族や会社の上司などにも当てはまるかと思います。
ナルシシストと付き合ってしまった私は『愛情』をもって彼らに接し、時には彼らのわがままを許し、そのたびに裏切られてきました。今となってはそれがなぜなのかよくわかります。ナルシシストと付き合っていて愛されていると思っていてもそれは本当の愛情ではありません。だから平気で裏切ることができるのです。
ナルシシストの『Supply』
Narcissistic Personality Disorder (NPD)は自己愛性パーソナリティー障害と訳されていて、一見自信過剰なので自分を愛しすぎる『自己愛の強すぎる』人というイメージがありますが、実はナルシシストは自己肯定感が低く、劣等感に満ちています。つまり、彼らは他者より優れているという『妄想上の自分の姿』を信じ、それになりきるために他人を利用します。
ナルシシストは自分自身の長所、他人の親切心を信じることができません。とても不安定な心の持ち主。ナルシシストは健康的な人付き合いができず、取引スタイルで他人と付き合います。
そして、彼らが生きていくのに欠かせないのが『Narcissistic Supply』です。
Narcissistic supply is a form of payment given by others in order to be in a relationship with a narcissist.
ナルシシスティック・サプライ…ナルシシストとの関係を維持するため、他人によって与えられるある種の報酬です。
人間が生きていくためには水や空気、食べ物が必要ですが、ナルシシストにとって空気のようになくてはならないのがサプライ。ナルシシストにとっての交際相手はそういったサプライを与えてくれる道具です。
ナルシシストは普通の人間関係を築くことができず、『物々交換』でしか相手との関係を築けません。相手からもらえるものが自分にとって価値があれば、その関係を維持し、相手が自分に対価を与えてくれないならその関係は捨てて新たなサプライを探します。
ナルシシスティック・サプライの例:
- 注目
- 称賛
- 勝利などの成果
- 相手を抑え込む権力
- あなたや環境をコントロールできるという感覚
- 中毒性のある物質または行為
- 性行為
- ネガティブまたはポジティブなどの感情のエネルギー
具体的に補足すると…
注目…SNSで自分の成功や高価なものを見せびらかして多くの人にみてもらう
称賛…相手から『かっこいいね』『賢いね』『料理上手だね』などとほめてもらう
勝利などの成果…仕事でナンバーワンのセールスマンになる
相手を抑え込む権力…相手より優位な立場や社会的に上位の立場にある
あなたや環境をコントロールできるという感覚…相手が仕事をしていない主婦でお金がない、ナルシシストが購入した家に住む、仕事の上司
中毒性のある物質または行為…ドラッグや買い物・ギャンブル中毒
性行為…通常または変わった性癖
ネガティブやポジティブなどの感情のエネルギー…相手からぶつけられる怒り、与えられる誉め言葉
交際相手は、上記の中の何か、または複数をナルシシストに与えてくれるから彼らにとって一緒にいる価値があります。
もしもこれが与えられないのなら一緒にいる意味がないので捨てられます。
これを知らずにナルシシストのご機嫌を取ったり、または怒りを恐れて言うことを聞いたりしていると、ナルシシストの思い通り、です。そして被害者は、ナルシシストに食いつぶされて自信を失い、憔悴していきます。疲れ切ったあなたを見てもナルシシストは助けてはくれません。『使える』間は同じことを繰り返します。
ナルシシストがモラハラをする理由
ナルシシストがモラハラをする理由…それはモラハラ被害者から『supply』を引き出すためです。被害者を確実に自分のコントロール下に置いた状態になるとモラハラが始まります。
具体的には、「お前はバカだ」「おまえは外見も普通クラスだ」と言って被害者の自尊心を傷つけて「私はダメ女」と思い込ませることで「オレくらいしかお前と結婚する奴いないからオレの言うことを聞け」とコントロールし、ナルシシスト自身の低い自尊心を相手を支配した満足感によって補います。
ナルシシストではないモラハラ被害者は、普通のコミュケーション方法でナルシシストに対応し、ナルシシストからも普通の人のような反応を期待します。でも上記にあるように、ナルシシストは健康的な人付き合いができず、自分を守るための独自の手段を使ってしか他人と付き合うことができないため、いつまでも成り立たない会話を繰り返すことになります。
そのため、ナルシシストとの関係は自分と対等にはなりません。彼らの中で捕まえたサプライは『自分より劣る人間』で『自分がコントロールできる人間』なので、そんな相手に何か言われても当然聞くつもりはありません。むしろ怒りとなって返ってきます。
ナルシシストからのモラハラは、supplyを与え続ける限り終わりません。
ナルシシストは変わるのか
もし、ナルシシストと付き合ってた!と気づいたら、離れるのが一番です。それでも『好き』という場合も、厳しい現実ですが、ナルシシストはあなたを愛していないということを知っておいた方が良いです。専門家によるとナルシシストが変わることはまずありません。いつか変わってくれるかも…と淡い期待を抱いても無駄なようです。
臨床心理士のドゥルバスラ博士いわく、
愛されていないし利用されているだけ、と知って一緒にいようと思う人はいないでしょ!と思いますが、ドゥルバスラ博士が診てきた人達の中には実際にナルシシストから離れられなかったり、変わってくれると夢のように信じている人が結構いるのだそうです。そうして何年、何十年と時が経ち…
『今も変わっていない』
という結果ばかりとのことです。自分の人生を無駄にするばかりでなく、ナルシシストにさんざん痛めつけられて性格や顔つきまで変わってしまう可能性が高く、恐ろしいです。
私の体験談
国際結婚をして別れた相手がナルシシストであることに、散々モラハラを受けてから知った私。モラハラを受けていた間は、何を聞いてもしっくりこない、結論が出ない、どうしていいかわからない…そんなモヤモヤした毎日でした。
ナルシシストとわかった瞬間に私のもやもやは全て晴れて、過去の謎に対しても全て説明がつき、今後どうすべきかもわかりました。
また同時に、過去に私が他にもナルシシストと付き合ってたな、ということに気づいたのです。苦笑。
ただ、そのナルシシストたちは違うタイプのナルシシストでした。もちろん全員モラハラ男たち。
タイプが違うといっても、今回のように私がナルシシストサプライになっていたことは間違いありません。
そして、いまさらながら利用されていたことに気づくと、時間がもったいなかったという思いと、もっと早くナルシシストについて知っていたら、過去10年間くらいの地獄の日々は短くなっただろうと思います。
元夫のオリバーは典型的な脆弱型ナルシシスト。彼からは実際に『お前は俺に何をしてくれてるっていうんだ』と言われたことがありました。当時は確かにこの人に養ってもらってるし、家もこの人が買ったものだしな…でも私は小さい子供を育ててるし…働いてないのがダメなのかな、でもなんでそんなことを言うんだろう…と不思議でしたが今はなるほどな…と思います。
離婚できたのは幸いでした。しかも彼から別れてくれたのはラッキーでした。もう少し早く気づけたら…と思ったりもしますが、娘のことを考えると子供を産んだのは後悔は全くありません。
ただ、過去のナルシシストたちとの恐ろしい毎日を考えると、当時の自分に言いたいです。
『危険だから今すぐ別れなよ』と。
まだ子供がいない段階でナルシシストと判明したなら、子供を作る前に別れるのが一番良いです。子供ができてからだと、子供を利用してモラハラを繰り返すようになるので、今度は自分だけじゃなく大切な子供にまで被害が及ぶ可能性があります。
もしも今モラハラ男と別れるか迷ってるという方がいたら、別れられるのならすぐに別れた方が良いです。ナルシシストからは自分が求める愛情は絶対に返ってこないし、モラハラもなくなることはありません。
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