自己愛性パーソナリティ障害の『自己愛』は誤訳?という話

ナルシシスト

Narcissistic Personality Disorder(NPD)を日本語で自己愛性パーソナリティー障害と言いますが、この言葉とてもややこしいと思いませんか?すごく誤解を招きやすい言葉だと私は思います。

NPD患者はナルシシストと呼ばれてますが、この人たちは自分の目的を果たすために他人を利用します。そしてそれがとても非情なやり方なので利用された人は精神を病んだり人格破壊されたりすることがあり、私自身もまさにその体験をしてきました。

ナルシシストは軽度から重度まであり、軽度の気持ち悪い人程度ならそれほど害はないですが、重度になると他人の人格を破壊するため、大変な被害が出ます。重度でも本人は自分がナルシシストとは自覚していないことがほとんどです。

 

このナルシシストが他人を利用する際に虐めやガスライティングしたり、暴言を吐いたりするんですが、それはNarcissistic abuseと言われています。日本だとモラハラですよね。

 

最近アメリカで「最近ナルシシストって言葉すごくよく聞くようになったんだけど」というセリフを見かけるんですが被害者も何年も経ってやっと気づいたって人も少なくありません。

でもナルシシストについて知らないと何度もターゲットになったりするので一般レベルで浸透すべきだと思います。

 

 

そんなときに、このNPDの日本語訳、自己愛性パーソナリティー障害の「自己愛が強い」の意味が普通の人が想像する意味じゃなかったらややこしすぎます。

 

ということで、今日は自己愛性パーソナリティー障害の自己愛っていう言葉と、self-loveの意味についてアメリカではどう説明されてるのかな~ということをまとめたいと思います。

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自己愛性パーソナリティー障害(NPD)の意味

まず、自己愛性パーソナリティー障害とはNPDの日本語訳です。

自己愛性パーソナリティ障害は独立したカテゴリーは与えられていないです。このような背景もあり、わが国の日常臨床では、これらの両パーソナリティ障害の診断をくだす際にDSM – 5 がよく用いられます。(sugiura-kokoro.com

 

アメリカ精神医学会がまとめた「DSM-5(精神障害の診断および統計マニュアル第5版)」では、自己愛性パーソナリティ障害について「以下の9項目のうち5つ以上当てはまること」という診断基準を定めています。

 

1.自分は重要人物であるという誇大な感覚を持っている。
2.無限の成功や権力、才気、美貌、あるいは理想的な愛にめぐまれる自分について空想している。
3.自分が特別な存在であり、他の特別な人達だけに理解できる独特の人間だと信じている。
4.他人からの過剰な賛美を期待している。
5.特権的な待遇を根拠なく期待している。
6.自分の目的を達成するために他人を利用することをいとわない。
7.他人の気持ちや欲求を理解しない。
8.他人に嫉妬されていると思い込む。
9.態度や行動が尊大で傲慢な傾向が強い。
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『自己愛』が誤訳と言われる訳

こちらの心理カウンセラーの菅波亮介さんという方のブログ

 「ナルシシズム(narcissism)」は「自己愛」と訳されてきましたが、これは「ナルシシズム」の意味を深く理解しなかった人による誤訳です。

とハッキリ書いてあります。

 

このカウンセラーの方はアメリカに11年住み、心理学を学んでいる方とのこと。私が今ナルシシストについて学ぶ際に参考にさせて頂いているアメリカの心理学教授やカウンセラーの方と同じことをおっしゃっていてとてもわかりやすいです。

 

『自己愛性パーソナリティー障害者』ではなくナルシシストとして解説されています。

 

自己愛という言葉に疑問を持っている心理カウンセラーの方がいるように、この自己愛と言う言葉は勘違いされているんじゃないでしょうか。

 

 

自己愛の意味は

〘名〙 自分自身を愛すること。自愛。 コトバンク)

そのままの意味です。前回の渡部建さんがナルシシストに間違いなさそう、という記事で引用させて頂いた精神科医の片田珠美さんの言葉では

自己愛性パーソナリティ障害の人は自己愛が人一倍強く、限りない成功の空想にとらわれています。

と説明されています。

『渡部建さんは自分が好きすぎてあんなに自己中な行動を取っちゃった』という結論になっている感じですが、もし渡部さんがナルシシストなら、本当の意味で自分が好きなのではないはずです。

 

自己愛性パーソナリティー障害、=Narcissistic personality disorderの人は自己肯定感の低い人です。65000件のカウンセリングをしてきた心理カウンセラーDr.カーターによるとナルシシストはとても傲慢で、その傲慢さは『自信』から来ているものだと思い込んでいますが、本当は違います。

 

彼らにとっての人生とは、『俺ってどれだけスゴイかわかる?』『俺こんなにユニークなとこあるんだけど気づいた?』など他人にどれだけ印象付けられるかが大事で、常に自分が正しい、他人の意見を聞く必要はないと思っています。ナルシシストと関係を持つことは競争相手になったということ。『I’m better, you’re lesser(俺のが優れていて君のが劣ってる)』という考えなのだそうです。

ナルシシストは自らの能力を過大評価していて、それを必要以上に人に伝えてきます。

 

本来、健全な自己愛とは、欠点があることも含めて自分を愛せることのはず。他人と競争したり自分の素晴らしさをアピールする必要はありません。でもナルシシストは自分に欠点があることは受け入れられません。だからこそ人から注目や称賛を浴びることに必死になっているのだと専門家は言います。これは本当の自己愛とは言えないのではないでしょうか。実際にナルシシスト専門家のDr.Ramaniはナルシシストはself-loveじゃなくself-hateだと言っています。

 

 

私もこれは自分の体験からもとても共感します。私のナルシシストの元夫の場合は、普段からかなり傲慢で自信家でしたが、なぜかいつも心の闇を抱えているようで気持ちが安定していないように見えました。

 

 

自信過剰で自分のことばかり話し、一見自己愛が強そうなナルシシストと深くかかわった人は気づくかもしれませんが彼らは実はとても心が不安定に見えるはずです。

 

 

元夫以外のナルシシストを振り返っても、言ってることは自信満々なのにある小さな挫折があると、とたんに弱気になったり自暴自棄になったり、泣いたりして驚くほど不安定でした。

 

この人たちにとっては、『素晴らしいオレ』を他人に印象付けることの方が何よりも大事なので、他人が自分をユニークで素晴らしい人間だと思ってくれないととたんに不安定な気持ちになります。そしてムキになって反論したり他人を批判したりします。

 

 

私はどうしても『自己愛』っていう言葉に違和感を感じずにいられません。勘違いを引き起こす誤訳だと思います。

 

 

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結局自己愛って何?

自己愛は『自分を愛すること』ですが、結局、この自己愛は『普通の人が持つありのままの自分を受け入れる自己愛』とナルシシストが持つ『見せかけだけの自己愛』とは全然違うと思います。

 

マナラボにはこう書いてあります。

ただし精神医学で「自己愛が強い人」とは「自己を性愛の対象と見なす陶酔型のナルシスト」の意味ではありません。

「自分には特別な才能がある」「自分は有能で重要な存在だ」といった誇大妄想に近い自信を抱き、虚栄心が強い一方で、他人からの批判には極端に弱く、自分が理想とする空想の世界にひたることで現実から逃避する人を「自己愛が強い」といいます。

ソースがわからないんですが、この内容、正直全然意味がわかりません。…自分が理想とする空想の世界にひたることで現実から逃避する人を「自己愛が強い」と言う?なんで?

 

 

精神医学の自己愛と、健全な人が持つ自己愛と意味が違うなら違う言葉にしてよ!って思っちゃいます。普通の人がナルシシストを理解しようとするときに、単なる『自己愛が強い人』と理解してしまうと、表面的にしか彼らを判断できず、その奥に潜んでる心の闇の部分には気づきません。そしてその闇の部分が他人を傷つける行為を起こすわけで、私たちが彼らの虐待から身を守るために気づかなきゃいけないところなんです。

 

要するに病的ナルシシストが持つものは本当の自己愛ではないってことです。

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自己愛性パーソナリティー障害って名前を変えて欲しい理由

『自己愛性パーソナリティー障害なんて知ってる』という人でももしかすると本当に理解していないのかもしれないよね?というくらい何か曖昧な名前。この自己愛性なんちゃらという名前を変えて欲しいと思うのは私だけでしょうか。

 

ナルシシストは自己愛の強い人…。でも本当の意味で自分を愛せていない人。愛せないから必死で他人から認められようとする行動が『自分大好き』に見えているだけ。

 

ナルシシストって人口の1%(アメリカでは6%)と言われてます。100人に1人はいるわけで、その被害者は1人じゃすみません。ひいきの激しい社長や暴言を吐く上司、言う通りにしないとすぐキレる旦那、、アレ?心当たりあるわ…って人多いですよね。そしてほとんどが男性です。

だからこそ『亭主関白なのね』『うちもそうよ』『上司だから』『男だから』でスルーされてる可能性もあります。

男性だから、じゃなくナルシシストだからです。おかしいものはおかしい。

 

 

被害者がダメージが大きくなる前に対処できるように、そしてナルシシストから離れられるようにするためにはナルシシストについて『自己愛が強い』以上に深い知識を持っていないといけません。

しかもナルシシストの被害者が今度は自分の自己愛を失い、加害者になることもあるのです。被害が拡大しないように正しい知識をつけないと危険。

 

 

だからこそ、この自己愛性パーソナリティー障害、じゃあよく意味がわかんなくなって混乱するから名前を変えた方が一般の人は理解しやすいんじゃないかなーと思うわけです。

 

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ナルシシストのself-love

正直、アメリカでもこのself-loveは一般の人には本当の意味で理解されてないんじゃないかなーって気がします。

 

ナルシシストとB群パーソナリティ障害の専門家のThe Little Shamanの動画では、本当に自分を愛している人は他人の成功に嫉妬したり、他人を蹴落として成功しようとしないし、人からの称賛があるかないか、評価されるかされないかで自己肯定感が上がったり下がったりすることはない、と言っています。

ナルシシストは、彼らは自信に満ちていて自分が大好き、他人はオレを嫉妬している、と言いますが、実際の行動はその反対。彼らは他人の成功や名声に嫉妬します。自信があるならなぜ『オレは重要人物』『オレはVIP』ということをひたすら他人にアピールする必要があるのか、そういうことをするのは自信がない人です。

 

そもそも彼ら自身も、本当は自信がなく自分のことを愛せない人間である、ということを気づいていないという専門家もいます。

 

この動画では、self-loveとNaricissisticの違いについて説明しています。

Self-Love vs Narcissism

 

self-love Narcissistic
自己の内面から認識するもの 他人の称賛によって認識するもの
自分の欠点を受け入れる 自分の欠点をごまかす
自分自身でいることに心地よさを感じる 自分自身に不安を感じる
謙虚 傲慢さと嫉妬
他人の気持ちを理解し反応する 他人に共感しない
他人に価値を見出す 自分自身にしか価値を見出さない
他者と対等(同格)であることを認める 支配することを好む

 

これを見ても、ナルシシストの特徴からいって、自己愛があるとは言い難いです。

 

少なくとも私が関わったナルシシストたちは全員自分を愛していないと思います。

 

 

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