モラハラを相談した友人、または他の誰かに『自分が傷ついたことを相手に知らせてみたら』と言われたとしてもそれはしてはいけない、というのはこのブログを読んでくださっている方は知っていると思いますが、モラハラという言葉がだいぶ知られるようになってきたことで、暴言を吐いた相手に『あんたそれ、モラハラよ』と言ってしまったことがある人もいるんじゃないでしょうか。
これがめったにない大ゲンカで思わず口走ってしまった暴言とかなら別ですが、日常的にモラハラを繰り返す相手の場合は全く話が違ってきます。
このとき、相手は決まって『おまえの方がモラハラ女だ』と言います。
個人的にモラハラ男、モラハラ女、という言葉は本質があいまいなので好きじゃないんですが、この人たちがナルシシストとわかったとき、『あんたモラハラ男!』『おまえのがモラハラ女!』となるのは当たり前だということが理解できます。
ということはもちろん、『あんたの正体わかったわ!ナルシシスト(ナルシスト)なのよ』と言ってはいけないことになります。これは以前にもナルシシストにあんたナルシシストよと言うのは絶対ダメという記事を書いてますが、今回はナルシシストがよくする『投影』や『ガスライティング』のせいでこのセリフが結果的に自分を攻撃するセリフになるということをもう少し深く見ていきたいと思います。
モラハラ被害者から『おまえモラハラ女だな』はよくある
モラハラ男と一緒にいると、ある時『おまえはモラハラ女だな』と言われる可能性があります。アメリカの場合だとこれが『おまえ、ナルシシスト(ナルシスト)だな』となるわけですが、これは言い返してケンカになってしまっている場合や、相手にあんたモラハラ男!あんたナルシシスト!と言ってしまった場合に特によく起きたりします。
これはよくあることですが、このセリフがこうなってしまうとちょっと危ないのです。
『私ってモラハラ女/ナルシシストなのかな…』
『私の方が自己中だったかな…』
『もしかして私が…』
自分を責めてしまう理由
モラハラを受けて精神的に参ってしまっているのは自分なのに、その自分自身がモラハラ加害者と信じてしまう理由にはこんなものがあります。
- 日常的なガスライティング
- 投影
- トラウマボンド
- 自分がナルシシストと思った方が簡単(認知的不協和)
日常的なガスライティング
自分は違うと思っていることを誰かが合っていると言い続けた場合、それを信じるようになってしまったりします。
自分はネガティブじゃないのに、『おまえはネガティブだ』と毎日言われ続けたら、いくらそうじゃないと思っていても、もしかして…?と思ってしまうことがあります。
空は青いと思っているし実際に青く見えているのに、誰かが『何言ってんだよ、空は赤いぜ』と毎日言い続けたらだんだん『確かに赤いかも』…と思ってしまう。第三者から見たら『赤いわけないでしょ、青いが正解だよ』と思うことも、何度も言われ続けることで自分が間違ってるのかも…と思い始めてしまいます。
これがガスライティング。モラハラ加害者のナルシシストは平気で嘘をつくため、自分の過去の行動を普通に否定したりします。『そんなこと言ってない』『そんなことしてない』は彼らのよくあるセリフの一つです。
これがモラハラ加害者との会話の中で起きるんですが、特に自分の立場が危うくなるような状況だったりで起きます。
ナルシシストによる投影
ナルシシストは自分の悪い行いを他人に押し付けます。自分がしているのに、相手がしている、と言うのです。例えば自分が浮気をしているのに、パートナーが浮気をしている、と言ったりします。
これがProjection(投影)です。自分がしている行動に対していい気持ちがしないので、その行動を認めずに他の人に押し付けてしまうのです。自分がモラハラしているのに、相手がモラハラをしているということにする、自分が忘れ物をして遅刻したのにパートナーのせいで遅刻した、といった責任転嫁をすることもよくあります。
自分が相手を虐待しているなんて認めたくない、だから私たちが彼らを虐待していることにする。あんたモラハラ男よ!と言った場合、彼はその後、チャンスがあれば『おまえはモラハラ女だな』と言い出します。
なにかにつけて人のせいにする態度を指摘すれば、それを同じように返してきます。
『私が言ったことモラハラ男がそのまま返してきた』って経験ないでしょうか。
トラウマボンド
トラウマボンドまたはトラウマボンディング(Trauma bond / Trauma bonding)とは虐待者に対する心理的反応で、虐待被害者が加害者との間に歪んだ(不健全な)絆を形成したときに起こります。
このトラウマボンドがどうして起きるのかなどは別の記事で詳しく書いていますが、これはモラハラ男と別れるのがとても難しい理由の一つです。
モラハラ男が優しくなる…そんな風に、虐待した本人が癒してくれる人になる、ということが繰り返し起きたりすることでトラウマボンドが生まれ、『あの人ひどいこと言うけど本当は良い人なの』という言い訳をすることがあります。
この時、彼らが『お前が自己中だから』とか『そういう言い方するなんておまえは冷たい』と言ってきたら『そうか、私って自己中だったのかも、彼はいつも働いてくれてるのに…』とかなんだかんだ自分のせいにしてしまいます。
『そのモラハラ発言やめろよ』とか言われた場合に、『そうか、モラハラっぽかったの私だったのかも…これから気をつけよう』と自己中にならないよう、ひどいこと言わないよう…と努力をし、結局自分を犠牲にしてしまいます。
自分がナルシシストと思った方が簡単(認知的不協和)
モラハラ男と一緒にいると、認知的不協和が起きます。
モラハラをしてくる相手に対して『この人モラハラ男だ』と考えるようになったとき、虐待をされる環境にいるのにそこに留まっている自分がいます。
この時に、モラハラ男だった、大変だ、どうしよう…と思いながらもそれを受け入れたくないため、自分の方がひどい事言ったりしてモラハラしてたかも、と自分の考えを変えればその環境に留まっていることを正当化できます。
そうやって自分の考えと行動が矛盾したときに起きる不安を解消するために考え方を変えて行動を正当化する認知的不協和が起きることも原因の一つです。
突然「おまえ、モラハラ女だ」と言われたとき
自分から相手に言ったわけじゃないのに、モラハラ女だな、と言われることがあるかもしれません。
それは、モラハラと言う言葉が浸透しいろんなところで耳にするようになったから、モラハラ男自身もそういう報道や記事を見たりしているという理由もあります。
今日本ではナルシスト、と言っても単に自分好きが度を超えてる人と思う人の方が多いと思いので、あんた/おまえ、ナルシストだな、と言われることはないと思いますが投影やガスライティングをするのが普通の彼らがこういった情報を得た場合、これを利用することが起きるのは当然かもしれません。
そうなる前にこっちが言おう!としてももちろんムダです。結局相手からしつこく言われ続けるだけです。
私って、ナルシシスト?判断するための自分自身への質問
モラハラをされていて自分がモラハラ女かも…またはナルシシストは私かも…と思うことが万が一あった場合、以下を自問自答してみてください。
- 共感力はありますか
- 他人の感情や経験、気持ちに同調できますか
- 自分の行動が他人にどう影響するか気づいていますか
- 自分の考えや行動をじっくり振り返る(内省する)ことができますか
- 自分は特別扱いされるべき存在だと思いますか?
- 他の人はルールを守るべきだけど、私にはそのルールは当てはまらないよねと思うことがありますか?
- 批判やフィードバックを反論しようと身構えずに聞くことができますか?
- 他人を、私はあんたたちより優れてるわ、といった優越感や軽蔑の目で見ていますか?
- がっかりしたりストレスを感じる状況においても自分の感情をコントロールして伝えることができますか?
- 他人からたくさん評価されることがなくても大丈夫ですか?
- 質問に正直に答えていますか?
こういった質問事項に対しても、ナルシシストは嘘をつきます。自分がよく見られる結果になるような答えを言う…それがナルシシストです。
1…ナルシシストは他人に共感しません
2…ナルシシストは他人の気持ちを理解せず経験もどうでも良いと思っています
3…ナルシシストは自分の行動が与える影響を考えません
4…ナルシシストは内省できません
5…ナルシシストは自分は特別扱いされるべきと思っています
6…ナルシシストは特権意識が強く、自分の独自ルールに従って生きています
7…ナルシシストは批判には耐えられません
8…ナルシシストは自分は他人より優れていると思っています
9…ナルシシストは短気で衝動的です
10…ナルシシストは評価されることに飢えています
11…ナルシシストは正直に、ではなく自分のプラスになるような結果になるなら嘘をつきます
まとめ
モラハラ男から『おまえモラハラ女だな』と言われること、ナルシシストから「ナルシシストだな」と言われることはよくあります。
その理由は彼らがガスライティングや投影を繰り返している人たちで、自分に不利になるような考え方は相手に押し付ける、という人たちだからです。
ただ、それが「そっか…私がモラハラしちゃってたのかも」「私って確かにナルシシストっぽいかも」と思ってしまうとちょっと危ないです。
そう思ってしまうカラクリに気づいた場合、そんなことないわ、と気づくために上記のような質問で振り返ってみることやモラハラを記録しておくことで確信が持てるのではないかと思います。
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